それは、一通のメールから始まった。
何気なく開いたパソコンに、「横浜ベイスターズ体験取材のお知らせ」が届いているではないか!
野球は9回2アウトまで何が起こるかわからない。最後まであきらめなければ、奇跡は起きる。私はそんな野球というスポーツに、子どもの頃からいつも励まされてきた。
生粋の浜っ子で野球少女だった私は、ベイスターズの大ファン。しかし、今回は「ファン」ではなく、「記者」という立場なのだ。そう自分に言い聞かせ、新聞で選手のデータをチェックしながら、取材の下準備。そんな作業もワクワクする。そして、「なんちゃって記者?」デビューの日が、とうとうやって来た。
6月20日快晴。梅雨とは思えない、真夏のような日差し。絶好の野球日和だ。
この日はセ・パ交流戦の最中で、対戦相手は福岡ソフトバンク。ここまでの交流戦、対ソフトバンク戦は、ベイスターズが3連勝。 今日も勝ちますように。
取材は練習見学からスタート。佐伯選手や仁志選手、憧れのスター選手が目の前で、黙々とバッティング練習に励んでいる。華やかな活躍は、不断の努力の積み重ねなのだと実感。
「インタビューですよ」と声を掛けられ、我に返る。いよいよ本業開始だ。
最初に登場したのは、現在企画広報担当の八木直子さん。颯爽とした、カッコイイ女性。
八木さんは、昨年チーム付きの広報として、まさに選手の生の声をファンに届ける役割を担っていた。選手のコメントを聞きだすのは、大変な仕事に思える。
「選手によって感受性は違うもの。普段からその人を理解して、その人に合った方法で対応しました」。選手に信頼を得るのも、日々の努力の積み重ねなのだ。
でも、女性ならではの苦労もあったのだろうか。「ベイスターズというチームカラーは、男女区別しないのです。同じフィールドで戦う仲間として、扱ってくれました」。八木さんの人柄もあるのだろうが、私たちファンにとっても、ベイスターズは親しみのあるチームだ。それは本物なのだな、と嬉しくなった。
そんな広報の仕事でやりがいを感じる時は、「注目を浴びる選手にはマスコミが殺到します。スムーズに取材を進めること、そして選手を守ること、この間に入る重要な部分を任せてもらえたのは、すごく嬉しかったですね」。何気なくスポーツニュースで観ている選手のインタビューも、陰で守ってくれる人の存在がある。これからはそんなところにも注目したい。

藤田一也選手
そして、次は憧れの選手とのご対面だ。
「こんちはっ」と体育会系のノリで元気良く現れたのは、今年入団3年目の藤田一也選手。
内野の激しいポジション争いの中、今最も注目を浴びている藤田選手、「昨年に比べてファンに声を掛けられる量が増えてきて、嬉しいですね」。私たちの声は、ちゃんと届いているのだ。でも、ヤジもしっかり聞こえるそうなので控えめに・・・。
日焼けした明るい笑顔がまぶしい。「ゲンかつぎとかは、あまりしないですね。ベンチに座った時に集中する。それまでは、いつもと一緒の気持ちでいるように心がけています」。
常に自然体で臨む、と顔を引き締めた藤田選手。「まだ自分は25歳(6月20日現在)。もっとハツラツとしたプレーでファンの皆さんはもちろん、監督やコーチにもアピールしていきたいですね」。
藤田選手、これからの夢は?「入団した時からの目標ですが、球界を代表する選手になりたい」。藤田選手のニックネームは、持ち味の俊敏な守りから、「ハマの牛若丸」。いえいえ、「球界の牛若丸」と呼ばれる日を楽しみに、これからの藤田選手を見つめていきたい。

内川聖一選手
最後にインタビューに答えてくれたのは、7年目を迎えた内川聖一選手。今年は本格的に外野のポジションを任されることになり、新たな活躍に期待が掛かる。
内川選手が野球を始めたきっかけは、「父親が高校野球の監督だったので、物心つく前から、野球がある生活の中で育ったんです」。産まれた瞬間に、野球選手になる運命だった!?
野球をやってきて、一番の思い出は何だろうか。「高校3年の夏、県大会の決勝の時、4−0で負けていて、2アウト満塁になれば、4番の僕に回ってくる状況でした。その時、チームのみんなが声を揃えて、何とか内川まで回そう、と言ってくれたんです。結果的には回ってこなかったけど、僕を頼りにしてくれたこの仲間と、野球をやって来て良かった、とすごく嬉しかったです」。周りから信頼される、誠実な人柄が伝わってくる。
「今は、与えられた代打や守備固めの役割を重ねながら信頼を得て、ベイスターズと言えば内川、と言われるようになりたい」。内川選手を毎日グラウンドで見たい、その日はきっと目の前に来ている。
今日インタビューした二人の選手は、今現在レギュラーが確約されているわけではない。
しかし、チャンスは自らつかむもの。あきらめなければ、きっと夢は叶う。この日の夜の試合を見てそう思った。
ベイスターズにとって、勝てば勝率5割の大事な一戦。3−3で迎えた9回に、小池選手がサヨナラホームランを放ち、スタジアムは歓喜に包まれた。
小池選手はこの試合、6回からの途中出場。今シーズンは5月に湘南シーレックスに降格した、悔しい思いも味わっている。つらい時期を乗り越えた小池選手。試合後、応援してくれる人たちに感謝する姿に、胸が熱くなった。
たくさんのファンが藤田選手、内川選手に夢を託している。二人の努力が実を結び、ヒーローインタビューで歓声を浴びる日を、私は信じて待っている。
●体験取材の感想●
私は学生の頃、横浜スタジアムのマスコットガールという貴重な経験を積ませて頂きました。大切な思い出の地に、再び体験記者としておじゃまさせて頂くご縁に感謝し、取材に臨みました。当時は選手の皆さんは、「雲の上の人」という遠い存在でしたが、お会いした藤田選手と内川選手は、野球を頑張る生身の(?)人間なんだなあと、少し親近感を覚えてしまいました。私たちと違うのは、目の輝き!目標に向かっている人は違う!私も見習わなければ・・・と反省しました。
今年のベイスターズのスローガンは「なせば成る」。優勝に向かって、私たちも浜スタで応援頑張りましょう!!

