“野球はビールを片手に、大きな歓声と拍手、時には少々スパイスの効いた野次でスタンドから楽しむもの”------野球観戦はそんなイメージが強いかもしれない。だが、ちょっと目線を変えただけで、野球観戦の面白さが倍増する「コツ」があるのをご存知だろうか。それは、選手を家族のような目で見守る、すなわち“家族目線”でスタンドからグラウンドを見ること。これは、幸運にもハマスポWAVE市民記者として、大ファンである横浜ベイスターズに直接取材をする機会を得て、私自身が今まで以上に感じたことだ。
今回、ベイスターズ若手の注目株である内川選手、藤田選手に直接話を聞くことが出来た。「球界を代表する選手に」という藤田選手、「期待される打撃でレギュラーを取りチームに貢献したい」という内川選手。どちらの選手も残念ながら今はレギュラーを取るまでに至っていないが、チャンスがあれば「練習でも試合でも若さでアピールしたい」(藤田選手)、「役割を持って試合に出ることを意識したい」(内川選手)と、両選手ともに今の状況に満足することなく、まっすぐな視線で意欲的に語ったのが印象的だ。
「野球の細かいことではなく、選手の人となり、素顔を伝えたかった」、球団広報の八木さんは、かつて担当していたベイスターズ公式サイトにあるコラム『広報リポート』についてこう語った。八木さん自身、野球を競技者として経験したことがないというその視点を逆に生かし、野球のプレーについて詳しく書くよりもファンからは見えない選手の素顔を伝えて喜んでもらいたい、という思いがあったそうだ。
今回、市民記者として選手と直接会話できたことは貴重な体験だ。だが決してこの特別な経験を経なければ“家族目線”が得られないわけではない。むしろこのような機会がなくとも、選手を“家族目線”で見る要素は日々の観戦でもたくさんある。横浜スタジアムの低い内野フェンス越しの試合前練習見学や、シーズンオフの充実した選手出演イベント等、ファンが選手を間近で見られる機会は意外に多い。また、球団広報のコラムや雑誌等を通じた選手の言葉でその思いや素顔を知るなど、思った以上にファンが選手の思いに触れる手段はあるものだ。

内川選手への緊張のインタビュー
誰でもいい、まずはベイスターズの「ひいきの選手」を一人持ってほしい。その選手の言葉を知りたい、姿を見たいと思うにつれ選手への“家族目線”が芽生え、選手の一挙一動にこれまで以上に本当に目がいくようになる。プレーの一つ一つに真剣に見入り、野球自体にも詳しくなってくる。良いプレーには大きな拍手と声援を送り、ふがいないプレーには厳しい視線や叱咤激励を送ったっていい。ただ“家族目線”でいることにより、これまでは “ビアガーデン”だったスタンドが、何か自分の家のような感覚を持つようになるかもしれない。選手と一緒に自分もチームの一員という思いが強くなり、グラウンドに対する喜怒哀楽の持ち方、伝え方が間違いなく変わってくると思う。
取材終了後、内野スタンド上段から試合を観戦した。残念ながら藤田・内川両選手はベンチスタートで、この日出番は回ってこなかった。しかし試合途中にファウルグラウンドでキャッチボールをする藤田選手の姿を見ただけで、思わず遠くから声援を送ってしまった。きっと私は次の観戦の機会にも、この2人の選手へ、そしてこの2人がいるベイスターズへ、今まで以上に大きな声援を送ってしまうに違いない。選手、スタッフ、そして私たちファンすべてを含むベイスターズという大きな“家族”が、全員で優勝という大きな喜びを分かち合える日を楽しみにしながら。

この日のスタジアムは歓喜に包まれた
●体験取材の感想●
過去に記者志望だったので一度「取材する側」を体験してみたいと応募したら、なんと取材先はベイスターズ!と連絡が来て本当に驚きました。貴重な体験ができたことに感謝しています。また今回の取材を通じて、私たちファンがメディアを通じて知る選手の声は、たとえ選手が話す相手が誰でも同じで、決して飾っているものではないと、私自身がファンの皆さんを代表して身を持って証明したと思いたいです。あと、スタンドからの野次にはご用心。遠くからだから聞こえないと思っていても、選手にはかなり聞こえているそうです。



