[今回の取材先]
フォルクスワーゲンオープン・荻村杯2008
[ハマスポWave記者]
2008年6月4日Up
卓球で燃ゆる横浜 〜 フォルクスワーゲンオープン・荻村杯2008
Text:ハマスポWave編集部
記者会見から最終日までの6日間、荻村杯を密着取材したハマスポWAVE編集部記者が、日本代表の戦いを中心に大会ハイライトをお届けします!
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北京五輪まで3ヵ月を切った5月21日〜25日、卓球の世界のトップ選手が出場する「フォルクスワーゲンオープン・荻村杯(ジャパン・オープン)」が横浜文化体育館で開催されました。ITTF(国際卓球連盟)プロツアー・メジャー4大大会として中国、フランス、ドイツ、そして今年から荻村杯が加わりました。来年の4月28日から横浜で開催される世界選手権横浜大会のプレ大会としても注目されました。
5月20日、大会に先立ち日本代表選手団が記者会見を行いました。卓球は1988年のソウル五輪から正式種目になり、20年後の今年、初めて団体戦が採用されることになりました。今回の荻村杯では五輪と同じ団体戦が行われるため、選手は五輪前の最後の実践の場としての意識が強いようです。同時にシングルスの成績が五輪の組み合わせに関わってくる重要な大会でもあります。
女子代表の近藤欽司監督は、「記念すべき五輪の第1回目の団体戦で、歴史に残るような成績を出したい。まず大事なのはダブルス。ダブルスは福岡(春菜選手)を中心に考えていますが、福岡の持っているテクニックとそのパートナーの得意技、この二つを重ねて他国にないダブルスを作っていきたい」と意気込みを語りました。
福岡選手と共に団体戦に出場するのは、平野早矢香選手と福原愛選手です。福原選手は「(2月の)世界選手権団体戦で銅メダルを取った雰囲気を出していきたい」と闘志を燃やしていました。
一方男子は水谷隼選手がドイツ・ブンデスリーガのプレーオフ出場のため、エースを欠いた状態ですが、男子代表の宮崎義仁監督は「日本の卓球ファンが多く詰め掛けてくれるこの荻村杯で、世界選手権以上の気合いを込めて戦いたい」と健闘を誓いました。

近藤、宮崎監督と共に会見に臨んだ福岡、平野、福原、岸川選手
大会初日の21日の夜、日本は男女共団体戦準々決勝に臨みました。女子は韓国、男子はクロアチアとの対戦です。試合開始前の19時、5月12日に発生した中国・四川大地震の被災者のために追悼セレモニーが行われました。日本語と英語、中国語のアナウンスで一同が1分間の黙祷を捧げ、犠牲者の冥福を祈り、困難な状況に立ち向かう中国を応援しました。

中国・四川大地震犠牲者のために祈りが捧げられました
その30分後、いよいよ日本代表の戦いの火蓋が切られました。男女団体は同じ時間に隣り合わせのコートで対戦したため、会場は一気にヒートアップ。観客席から熱烈な日本コールが起こり、日本選手の得点では大きな拍手が巻き起こりました。
女子で最初に出場した平野選手は、力強い試合運びで金環娥選手を3−0で圧倒。続く福原選手はフルゲームの試合運びとなりましたが3−2で勝利し、韓国に対して王手をかけました。
しかしここから韓国が粘りを発揮。日本は平野、福岡選手のダブルスを2−3で落とします。第4ゲームの福原選手は微妙な判定の結果ポイントにならず、精神的に崩れた部分もあったのか敗北を喫しました。そして最終シングルスの福岡選手は唐汭序選手を一時リードしましたが、逆転を許し3−2で惜敗しました。一進一退の緊迫の連続だった約4時間にも及ぶ熱戦でしたが、日本女子は惜しくも敗退が決定しました。
男子は吉田海偉、韓陽選手のシングルスが連勝しましたが、続くダブルス、シングルスで敗れ逆転負けとなりました。宮崎監督は、「韓陽は体調を崩し本来の力を発揮できなかった。補欠がいない中での試合は大変苦しく、1人の不調が総崩れになるということを改めて知りました。その意味では良い勉強になりました」と話し、五輪に向けて立て直しを誓いました。
日本は翌日から始まるシングルスに望みをつなぐことになりました。

日本女子の団体戦は約4時間に渡る激戦となりました
大会2日目の22日は男女シングルス予選などが行われました。女子の福岡選手、最年少の石川佳純選手らは各グループ1位で翌日の決勝トーナメント進出を決めました。北京五輪出場が決定している男子の岸川聖也選手はグループ2位で敗退しました。岸川選手は大会を振り返り、「昨日の団体戦は2−0から逆転されてすごく悔しい。まだ五輪まで時間はあるので体調面を整えたい」と雪辱を期していました。

岸川選手には北京が待っています!
大会3日目の23日は男女シングルス決勝トーナメント1回戦です。日本代表選手は、世界の強豪相手に熱戦を繰り広げました。女子のエースで世界ランク13位の福原選手は、昨年の世界選手権シングルスで敗れたドデアン選手(ルーマニア)に4−0でストレート勝ち、16強に進出しました。試合後の会見では、「世界選手権では技術的な問題より、自分の精神的な問題で負けてしまった部分が大きかったので、前より冷静にプレーすることを心掛けました」と、自身の成長を証明。おなじみの「サー!」の掛け声が、今回は全く聞こえず寂しかったという質問には、「目指せポーカーフェースで頑張ります」と笑顔で答えました。
同じく16強に勝ち進んだのは、男子の世界ランク18位、韓陽選手です。李延佑選手(韓国)に4−0でストレート勝ちを収めました。風邪で体調を崩している韓陽選手は、前夜も30分に1回は目を覚ましてしまうというコンディションの中の試合でした。「他の日本選手の分まで自分が勝たなければ、という気持ちがありました。自信を持ってよくプレーできたと思います」と頼もしい言葉を残しました。

16強に勝ち進んだ福原選手(左)と韓陽選手(右)
福原選手、韓陽選手以外の日本勢は、残念ながらこの日で姿を消すこととなりました。
女子の石川選手はスン・ベイベイ選手(シンガポール)に敗れました。「最初から強い相手と対戦することができたし、今までの合宿で練習してきた中で出せた部分もありました。予選リーグを上がれたことが自信になりました」と話した石川選手。北京五輪出場は叶いませんでしたが、その先のロンドン五輪に向けて期待が掛かります。

日本卓球界の未来を担う石川選手
北京五輪代表組の福岡選手は世界ランク5位の郭炎選手(中国)に屈しました。平野選手は柳絮飛選手(香港)に激戦の末3−4で敗れ、会見で悔しさをにじませました。「この後の2大会(韓国オープンとシンガポールオープン)の実戦の中で、勝負どころで自分がどういうプレーをしていくのか考えたり、相手をよく観察しながら試合ができる力を高めていきたいです」と話し、五輪を見据えていました。
また男子の吉田選手は、世界ランク1位の王皓選手(中国)にストレート負けを喫しました。初戦に王皓選手との対戦が決まった時の心境について、「絶対ついてない人ですね」と笑った吉田選手。「もちろん相手は強いけれど、考え過ぎても何もできない。今日は自分らしい卓球ができたので、それだけでも十分です」と振り返りました。

試合は敗れましたが、力強いプレーを見せた平野選手(左)と吉田選手(右)
大会4日目の24日は男女シングルス決勝トーナメント2回戦などが行われました。休日の土曜日ということもありチケットは完売、満員御礼。卓球ファンで会場はにぎわいました。
大声援を受けて登場した福原選手の相手は、世界ランク8位の姜華君選手(香港)です。苦手という朝一番の試合で福原選手は4−0で敗れ、ファンの期待に応えることはできませんでした。「最低でもベスト8が目標でしたが、達成することができなくて悔しいです。みんながチームランキングを気にしていると思うので、一つでも上げることができなくて悔いが残っています」と、かみしめるように話しました。それでも、「自分の中で、今までより精神面が出来上がってきたと思うので、これからはもっと技術を磨いて、それを戦術に結び付けていきたいと思います」と力を込めました。自他共に満足できる結果とはいきませんでしたが、常に報道陣からたくさんのフラッシュを浴び、ファンの視線を一身に集めていた福原選手は、やはり日本卓球界のヒロインでした。静かな闘志を秘めた眼差し、そして試合の緊張感から解き放たれた時に見せる、一点の曇りもない笑顔…どんな表情も輝いていました。「卓球少女・愛ちゃん」から一人のアスリートへ、2回目の五輪に挑む福原選手をたくさんの人たちが見守っています。
そして同じく決勝トーナメントを戦った韓陽選手は、世界ランク7位の陳玘選手(中国)に1−4で敗れましたが、「結果は負けましたが、いい試合をしたと思います。北京五輪はベスト8を目指します」と決意を固めました。

日本卓球界のヒロイン、福原愛。北京五輪では最年少でキャプテンを務める可能性が高くなりました
大会最終日の25日に迎えた男女シングルス決勝は中国勢の対戦となりました。中国は団体戦でも男女共優勝を飾っています。女子シングルスで優勝したのは世界ランク1位の張怡寧選手です。アテネ五輪シングルス、ダブルスの金メダリストのプレーはファンを魅了しました。試合後は、「長春(中国オープン)のすぐ後で、体力的にきつい面がありましたが、ここまできたら技術よりも精神的な面が大きなウエイトを占めていました」と振り返りました。北京出身の張怡寧選手は、「地元での大会なので、期待されてかなりプレッシャーは掛かりますが、それをバネにして一生懸命頑張ります」と話し、この優勝がまた一つ、五輪へ向けて弾みになったようです。
男子シングルスは世界ランク1位の王皓選手と同2位の馬琳選手の対戦です。息詰まる熱戦を制したのは馬琳選手。「今まで日本ではいろんな大会を何回もやっていますが、初めて優勝したので非常に嬉しい」と安堵した表情で話しました。改めて中国の強さを証明しましたが、「中国に絶対的な優勢さは無いと思う。ヨーロッパやアジアの他の国も強いところがありますから、戦術や技術、総合的なものが最終的な結果になると思います」と気持ちを引き締めていました。

女王の貫禄を見せた張怡寧選手(左) 男子の決勝は世界ランク1、2位の戦いでした(右)
横浜が卓球に染まった5日間。大会に携わった人たちは既に、2009年世界選手権横浜大会を見据えています。期間中に会場を訪れた中田宏横浜市長は、「北京の後にも楽しみがある。横浜開港150周年はぜひ卓球で盛り上げたいですね」と力強く宣言しました。
また今年2月の世界選手権広州大会で団長を務めた、神奈川県卓球協会の山口宇宙会長は、「世界選手権の後、卓球ってあんなに面白いものなのか、という声をよく聞きました。来年は(会場の)横浜アリーナを、毎日1万5千人で満員にしたいですね」と笑顔で話しました。
そして連日大奔走だった横浜市卓球協会の河原智会長は、「日本は若い選手が多いので1年後の世界選手権で、どうやって成長しているのかを見るのが楽しみですね」と期待を寄せました。「中国にはプロリーグがあって、そこで選手たちは活躍して強くなったのです。日本もプロリーグができたら変わるかもしれない。来年は横浜からいろんなことを発信したいですね」。日本卓球界の未来のために、河原会長の挑戦はこれからも続きます。

来年は横浜が舞台です。中田市長(左)と山口会長(右)
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女子代表の近藤監督は、「卓球は実際にやって楽しいスポーツだと言われてきました。しかし今、試合を見ると非常にスリルがあり感動もありますから、会場に足を運んで生で選手の迫力あるプレーを見ていただきたいですね」とその魅力を語りました。選手の息づかいまで聞こえてくるような力強い動き、その表情に見え隠れする心理面の駆け引き…会場にいるからこそ味わえる醍醐味です。
北京五輪で日本選手団の活躍を祈り、そして来年はいよいよ私たち“ハマッ子”一人一人が主役です。卓球で燃ゆる横浜、世界へ向かって熱いサーブを放ちましょう!

最終日の抽選会で福原選手たちはファンとふれあいました(左) 日本代表は円陣を組んで、北京へ向けて健闘を誓いました(右)
北京五輪まで3ヵ月を切った5月21日〜25日、卓球の世界のトップ選手が出場する「フォルクスワーゲンオープン・荻村杯(ジャパン・オープン)」が横浜文化体育館で開催されました。ITTF(国際卓球連盟)プロツアー・メジャー4大大会として中国、フランス、ドイツ、そして今年から荻村杯が加わりました。来年の4月28日から横浜で開催される世界選手権横浜大会のプレ大会としても注目されました。
5月20日、大会に先立ち日本代表選手団が記者会見を行いました。卓球は1988年のソウル五輪から正式種目になり、20年後の今年、初めて団体戦が採用されることになりました。今回の荻村杯では五輪と同じ団体戦が行われるため、選手は五輪前の最後の実践の場としての意識が強いようです。同時にシングルスの成績が五輪の組み合わせに関わってくる重要な大会でもあります。
女子代表の近藤欽司監督は、「記念すべき五輪の第1回目の団体戦で、歴史に残るような成績を出したい。まず大事なのはダブルス。ダブルスは福岡(春菜選手)を中心に考えていますが、福岡の持っているテクニックとそのパートナーの得意技、この二つを重ねて他国にないダブルスを作っていきたい」と意気込みを語りました。
福岡選手と共に団体戦に出場するのは、平野早矢香選手と福原愛選手です。福原選手は「(2月の)世界選手権団体戦で銅メダルを取った雰囲気を出していきたい」と闘志を燃やしていました。
一方男子は水谷隼選手がドイツ・ブンデスリーガのプレーオフ出場のため、エースを欠いた状態ですが、男子代表の宮崎義仁監督は「日本の卓球ファンが多く詰め掛けてくれるこの荻村杯で、世界選手権以上の気合いを込めて戦いたい」と健闘を誓いました。

近藤、宮崎監督と共に会見に臨んだ福岡、平野、福原、岸川選手
大会初日の21日の夜、日本は男女共団体戦準々決勝に臨みました。女子は韓国、男子はクロアチアとの対戦です。試合開始前の19時、5月12日に発生した中国・四川大地震の被災者のために追悼セレモニーが行われました。日本語と英語、中国語のアナウンスで一同が1分間の黙祷を捧げ、犠牲者の冥福を祈り、困難な状況に立ち向かう中国を応援しました。

中国・四川大地震犠牲者のために祈りが捧げられました
その30分後、いよいよ日本代表の戦いの火蓋が切られました。男女団体は同じ時間に隣り合わせのコートで対戦したため、会場は一気にヒートアップ。観客席から熱烈な日本コールが起こり、日本選手の得点では大きな拍手が巻き起こりました。
女子で最初に出場した平野選手は、力強い試合運びで金環娥選手を3−0で圧倒。続く福原選手はフルゲームの試合運びとなりましたが3−2で勝利し、韓国に対して王手をかけました。
しかしここから韓国が粘りを発揮。日本は平野、福岡選手のダブルスを2−3で落とします。第4ゲームの福原選手は微妙な判定の結果ポイントにならず、精神的に崩れた部分もあったのか敗北を喫しました。そして最終シングルスの福岡選手は唐汭序選手を一時リードしましたが、逆転を許し3−2で惜敗しました。一進一退の緊迫の連続だった約4時間にも及ぶ熱戦でしたが、日本女子は惜しくも敗退が決定しました。
男子は吉田海偉、韓陽選手のシングルスが連勝しましたが、続くダブルス、シングルスで敗れ逆転負けとなりました。宮崎監督は、「韓陽は体調を崩し本来の力を発揮できなかった。補欠がいない中での試合は大変苦しく、1人の不調が総崩れになるということを改めて知りました。その意味では良い勉強になりました」と話し、五輪に向けて立て直しを誓いました。
日本は翌日から始まるシングルスに望みをつなぐことになりました。

日本女子の団体戦は約4時間に渡る激戦となりました
大会2日目の22日は男女シングルス予選などが行われました。女子の福岡選手、最年少の石川佳純選手らは各グループ1位で翌日の決勝トーナメント進出を決めました。北京五輪出場が決定している男子の岸川聖也選手はグループ2位で敗退しました。岸川選手は大会を振り返り、「昨日の団体戦は2−0から逆転されてすごく悔しい。まだ五輪まで時間はあるので体調面を整えたい」と雪辱を期していました。

岸川選手には北京が待っています!
大会3日目の23日は男女シングルス決勝トーナメント1回戦です。日本代表選手は、世界の強豪相手に熱戦を繰り広げました。女子のエースで世界ランク13位の福原選手は、昨年の世界選手権シングルスで敗れたドデアン選手(ルーマニア)に4−0でストレート勝ち、16強に進出しました。試合後の会見では、「世界選手権では技術的な問題より、自分の精神的な問題で負けてしまった部分が大きかったので、前より冷静にプレーすることを心掛けました」と、自身の成長を証明。おなじみの「サー!」の掛け声が、今回は全く聞こえず寂しかったという質問には、「目指せポーカーフェースで頑張ります」と笑顔で答えました。
同じく16強に勝ち進んだのは、男子の世界ランク18位、韓陽選手です。李延佑選手(韓国)に4−0でストレート勝ちを収めました。風邪で体調を崩している韓陽選手は、前夜も30分に1回は目を覚ましてしまうというコンディションの中の試合でした。「他の日本選手の分まで自分が勝たなければ、という気持ちがありました。自信を持ってよくプレーできたと思います」と頼もしい言葉を残しました。

16強に勝ち進んだ福原選手(左)と韓陽選手(右)
福原選手、韓陽選手以外の日本勢は、残念ながらこの日で姿を消すこととなりました。
女子の石川選手はスン・ベイベイ選手(シンガポール)に敗れました。「最初から強い相手と対戦することができたし、今までの合宿で練習してきた中で出せた部分もありました。予選リーグを上がれたことが自信になりました」と話した石川選手。北京五輪出場は叶いませんでしたが、その先のロンドン五輪に向けて期待が掛かります。

日本卓球界の未来を担う石川選手
北京五輪代表組の福岡選手は世界ランク5位の郭炎選手(中国)に屈しました。平野選手は柳絮飛選手(香港)に激戦の末3−4で敗れ、会見で悔しさをにじませました。「この後の2大会(韓国オープンとシンガポールオープン)の実戦の中で、勝負どころで自分がどういうプレーをしていくのか考えたり、相手をよく観察しながら試合ができる力を高めていきたいです」と話し、五輪を見据えていました。
また男子の吉田選手は、世界ランク1位の王皓選手(中国)にストレート負けを喫しました。初戦に王皓選手との対戦が決まった時の心境について、「絶対ついてない人ですね」と笑った吉田選手。「もちろん相手は強いけれど、考え過ぎても何もできない。今日は自分らしい卓球ができたので、それだけでも十分です」と振り返りました。

試合は敗れましたが、力強いプレーを見せた平野選手(左)と吉田選手(右)
大会4日目の24日は男女シングルス決勝トーナメント2回戦などが行われました。休日の土曜日ということもありチケットは完売、満員御礼。卓球ファンで会場はにぎわいました。
大声援を受けて登場した福原選手の相手は、世界ランク8位の姜華君選手(香港)です。苦手という朝一番の試合で福原選手は4−0で敗れ、ファンの期待に応えることはできませんでした。「最低でもベスト8が目標でしたが、達成することができなくて悔しいです。みんながチームランキングを気にしていると思うので、一つでも上げることができなくて悔いが残っています」と、かみしめるように話しました。それでも、「自分の中で、今までより精神面が出来上がってきたと思うので、これからはもっと技術を磨いて、それを戦術に結び付けていきたいと思います」と力を込めました。自他共に満足できる結果とはいきませんでしたが、常に報道陣からたくさんのフラッシュを浴び、ファンの視線を一身に集めていた福原選手は、やはり日本卓球界のヒロインでした。静かな闘志を秘めた眼差し、そして試合の緊張感から解き放たれた時に見せる、一点の曇りもない笑顔…どんな表情も輝いていました。「卓球少女・愛ちゃん」から一人のアスリートへ、2回目の五輪に挑む福原選手をたくさんの人たちが見守っています。
そして同じく決勝トーナメントを戦った韓陽選手は、世界ランク7位の陳玘選手(中国)に1−4で敗れましたが、「結果は負けましたが、いい試合をしたと思います。北京五輪はベスト8を目指します」と決意を固めました。

日本卓球界のヒロイン、福原愛。北京五輪では最年少でキャプテンを務める可能性が高くなりました
大会最終日の25日に迎えた男女シングルス決勝は中国勢の対戦となりました。中国は団体戦でも男女共優勝を飾っています。女子シングルスで優勝したのは世界ランク1位の張怡寧選手です。アテネ五輪シングルス、ダブルスの金メダリストのプレーはファンを魅了しました。試合後は、「長春(中国オープン)のすぐ後で、体力的にきつい面がありましたが、ここまできたら技術よりも精神的な面が大きなウエイトを占めていました」と振り返りました。北京出身の張怡寧選手は、「地元での大会なので、期待されてかなりプレッシャーは掛かりますが、それをバネにして一生懸命頑張ります」と話し、この優勝がまた一つ、五輪へ向けて弾みになったようです。
男子シングルスは世界ランク1位の王皓選手と同2位の馬琳選手の対戦です。息詰まる熱戦を制したのは馬琳選手。「今まで日本ではいろんな大会を何回もやっていますが、初めて優勝したので非常に嬉しい」と安堵した表情で話しました。改めて中国の強さを証明しましたが、「中国に絶対的な優勢さは無いと思う。ヨーロッパやアジアの他の国も強いところがありますから、戦術や技術、総合的なものが最終的な結果になると思います」と気持ちを引き締めていました。

女王の貫禄を見せた張怡寧選手(左) 男子の決勝は世界ランク1、2位の戦いでした(右)
横浜が卓球に染まった5日間。大会に携わった人たちは既に、2009年世界選手権横浜大会を見据えています。期間中に会場を訪れた中田宏横浜市長は、「北京の後にも楽しみがある。横浜開港150周年はぜひ卓球で盛り上げたいですね」と力強く宣言しました。
また今年2月の世界選手権広州大会で団長を務めた、神奈川県卓球協会の山口宇宙会長は、「世界選手権の後、卓球ってあんなに面白いものなのか、という声をよく聞きました。来年は(会場の)横浜アリーナを、毎日1万5千人で満員にしたいですね」と笑顔で話しました。
そして連日大奔走だった横浜市卓球協会の河原智会長は、「日本は若い選手が多いので1年後の世界選手権で、どうやって成長しているのかを見るのが楽しみですね」と期待を寄せました。「中国にはプロリーグがあって、そこで選手たちは活躍して強くなったのです。日本もプロリーグができたら変わるかもしれない。来年は横浜からいろんなことを発信したいですね」。日本卓球界の未来のために、河原会長の挑戦はこれからも続きます。

来年は横浜が舞台です。中田市長(左)と山口会長(右)
女子代表の近藤監督は、「卓球は実際にやって楽しいスポーツだと言われてきました。しかし今、試合を見ると非常にスリルがあり感動もありますから、会場に足を運んで生で選手の迫力あるプレーを見ていただきたいですね」とその魅力を語りました。選手の息づかいまで聞こえてくるような力強い動き、その表情に見え隠れする心理面の駆け引き…会場にいるからこそ味わえる醍醐味です。
北京五輪で日本選手団の活躍を祈り、そして来年はいよいよ私たち“ハマッ子”一人一人が主役です。卓球で燃ゆる横浜、世界へ向かって熱いサーブを放ちましょう!

最終日の抽選会で福原選手たちはファンとふれあいました(左) 日本代表は円陣を組んで、北京へ向けて健闘を誓いました(右)
