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トップページ > ハマスポWave > ワクワク体験取材!〜ハマスポWave記者が行く!
[今回の取材先]
第26回横浜国際女子駅伝
みなとみらい21「横浜赤レンガ倉庫」発着・横浜市内42.195km駅伝コース
[ハマスポWave記者]
2007年3月21日Up

〜サッカーを通して成長するということ〜
Text:鈴木優一朗

 表彰式を終えたばかりの横浜F・マリノスプライマリー主将・喜田拓也(きだたくや)は、力強くこう語った。

「将来はイタリア代表のカンナヴァーロ選手(現レアル・マドリード)みたいな選手になって、日本代表をワールドカップ優勝に導いていきたいです。」

 右手で額に入れた賞状を握り、真っ直ぐと前を見つめるその瞳には、12歳の少年とは思えない程落ち着きと自信があった。

 横浜F・マリノスプライマリーは2月12日、2006年度の締めくくりとなる日産カップ争奪神奈川県少年サッカー選手権大会を優勝という形で飾った。決勝戦当日、横浜スタジアムには2月とは思えない程の強い日差しが照りつけていた。気温は11度とそれほど上がらなかったものの、少し歩くだけで汗ばむほどの陽気。まさに432チームの頂点を決める戦いにふさわしいコンディションだった。

「この大会も全国と同じように皆で集中力を切らさず戦ったから全国も結果が出たし、この大会も結果が出たので良かったです。」

 彼らは8月の夏休み中に行われた、全日本少年サッカー選手権大会を制している。7884チームが参加する各県ごとの予選を経た、県の代表48チーム(前回優勝県からは2チーム)が参加する“日本一”を決める戦いに勝っている。しかし彼らは、日本一となった事に対しての驕りなど全く見せる事は無く、「全国と同じように」自らの持つ精一杯のプレーで戦いに挑み、そして神奈川県の頂点に立った。

「この一年で余裕が生まれてきた」

「ヘイこっち!」

 甲高い声に交じり一つ低く太い声が響き渡る。試合前、レフトフェンス付近でウォーミングアップを行う選手達の輪に、このチームを率いる監督の姿があった。4,5人で一組になってのボール回しに加わった監督は、少年と見間違えるような笑顔を見せてボールを追いかけていた。

 川合学監督、34歳。川合監督はマリノスプライマリーの中で5・6年生のチームを指導している。

「緊張は特には無いと思いますよ。場馴れしています。彼らには海外でプレーした経験がありますし、日本の何千人も集まる所(全日本少年サッカー大会)でもやっていますし。」

川合監督が話すように、試合前から選手達に緊張の色は伺えない。

「ハーフタイム中、僕は何も指示してないんです。選手たち皆で話し合って、どれだけパフォーマンス出来るかって事で。U―12最後の公式戦だったので、これから先、今まで培ってきたモノを自分達で話し合っていかに出せるかという時間にしたかったんです。」

前半、相手に押され気味だったにも関わらず一つも指示を出さなかった川合監督。そこには選手達への信頼と、これまで培ってきたものに対する自信があった。

「僕ら指導者が考える以上に、彼らのアイディアはすごくたくさんあるんですよね。(6年生になった)4月に比べると本当に大人になったと思います。タイトルも獲れて、いろんな経験もしているから、自分が思っている事を他の仲間たちにどんなタイミングでも伝えられるようになったんだと思います。」

 マリノスプライマリーは昨年3月にヨーロッパ遠征に出掛けた。場所はオランダを拠点にドイツ、ベルギーの3カ国。アヤックス、フェイエノールト、ゲンク、ケルン等、ヨーロッパの名門と呼ばれるチームのジュニアとの試合をこなす事で、選手たちは大きな経験を得た。それに加え、8月に行われた全日本少年サッカー大会で日本一に輝いた事で、大きな自信も手にしていた。

「そういった経験や自信が、彼らを大人にしたというか、余裕が生まれたというか。局面での駆け引きの楽しさとか、相手の逆を突くとか。ブラジルとかロナウジーニョのようなああいう余裕が生まれてきたのではないでしょうか。」

 自分の思ったことを他人に話す。大事なことだが簡単には出来ないこと。それを彼ら選手達はサッカーを通じて学んでいるのだ。

「全ての人に感謝し、思いやりのある人間に」

「睡眠時間を削られる事が、一番心配です。」

マリノスプライマリーの練習は横浜市新子安にある専用グラウンドで行われる(2007年4月〜みなとみらいにオープンしたマリノスタウンに移行)。選手全員が近所の子供達という地元チームとは違い、マリノスプライマリーは電車で通う選手がほとんどだ。平日は一般クラスが終わる18時20分を待ってからの練習開始。そのため帰宅時間はどうしても遅くなってしまう。これが保護者の一番の悩みだ。

「おにぎり一個程度は持たせているんですけど。それでも・・・」

 成長期の真只中にある子供たちにとって、食事・睡眠は大変重要だ。

「夕飯は帰ってきてから食べさせます。それから寝るとなると、時間も遅くなってしまいますよね。これが一番心配です。」しかしそれでも、あえてマリノスプライマリーの選手として子供を送り出すにはそれだけの魅力があるからだ。

「マリノスも人間形成を一番においていますし、何より子供達が一生懸命やっていますからね。エリート集団って言われていますけど悔しい想いもすごくしていて我慢している所もすごくあるし、そういう意味でみんな大人ですよね。普通の小学生の方も各々の立場でいろいろ経験はなさっているとは思うんですけど、学校では出来ない経験、こういう場(県大会決勝)もそうですけど、そういった経験は出来ていると思います。」

 観客スタンドには多くの保護者が観戦に訪れていた。夫婦で来ている人もいれば、選手の兄弟を連れて来ている人もいる。ビデオ撮影をするお父さん、選手の一挙手一投足に「足が止まってる!」と怒声にも似た声援を送るお母さん。

「自分の子供が試合に出ていなくても、一生懸命頑張る選手達を見て、サッカーの魅力に取り付かれている保護者も多いと思いますよ。」

 

多くの父母が毎週試合の観戦をし、遠征の際は車での送り迎えをする。熱の入れ様がひしひしと伝わってくる光景だ。選手が一つ一つの経験を通して成長していくのと同時に、保護者もこういった一つ一つの経験から何かを学び取っているのかもしれない。

成長

 Jリーグ横浜F・マリノスの下部組織として、育成を主な目的としているこのチーム。毎年2000人程の中から一学年16人のみが一員となる事を許された言わばエリート集団である。しかし、彼らの中にエリートという意識は無い。

「この一年間で一番成長した所は声を出せるようになったことです。キャプテンを任されてから、皆をまとめようと意識していたので、試合中は誰よりも声を出す事に気をつけていました。」

真剣な眼差しで話す喜田君。身体はまだまだ小さく成長を待っているが、これからどんどん大きく成長していく事だろう。しかし、それ以上に、彼の心には大きな伸び代があるように思った。

ジュニアユースへ行っても頑張ってという声に、喜田君は笑顔で、「ハイ。ありがとうございます。」と応えて、チームメイトの輪に戻って行った。

体験取材の感想

今回の体験取材をとおして一番印象に残っている事は、講師である会津氏の「書きたいから書く。書きたいことが無ければ書かなければいい。」という言葉です。この言葉を胸の中に響かせながら体験取材に行ったのですが、なかなか実践することは難しかったです。

 本格的な『取材』という行為自体の経験が無いまま向かった取材現場である横浜スタジアム。「ネタを探せ」こう会津氏に言われるがままに会場内をフラフラしても、最初何も頭に思い描けませんでした。これは、何を書きたいかを考え見つけろという事だったのです。「取材はどれだけ人に話を聞けるかで決まる」ということを言われてはいたものの、いざその場に立つと、何を聞けばいいのか、どのように話しかけていいのか、分からない事だらけでした。

 取材を行うにあたって、私が大変だと感じたことが3点あります。それは、取材前にテーマをはっきりと決めなければ、いざ話を聞けと言われてもインタビューが出来ないという事。インタビューのきっかけとなる自己紹介の段階で自らをどう名乗ったらよいのかという事。取材前に十分な資料を頭の中に入れておかないとインタビューが出来ないという事。この3点です。

 それでもそれなりにインタビューし、頭の中で記事の構成を行って取材を終わらせたつもりでした。しかし、取材後、実際に記事を書き始めてから、改めて取材の難しさを痛感すると共に、「書きたいことが無ければ書かなければいい。」という講師の言葉が頭をめぐりました。もっとこう聞けばよかった、ああ聞けばよかったと頭を巡っても後の祭り。取材の量が十分でないと記事を書く際手が動きません。


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