夏といえば、甲子園の高校野球。青春時代に思いを馳せて、胸が高まる人も多いだろう。
しかし、甲子園だけではない。ここ横浜でも、中学球児たちの熱い夏が繰り広げられた。
毎年この時期に、全日本少年軟式野球大会が、横浜スタジアムで開催される。全国5200チームから、予選を勝ち進んだ16チームが頂点を目指す、「中学生の甲子園」。
「過去の大会では、イチロー選手(シアトル・マリナーズ)も、愛知県代表で出場したんですよ」と神奈川県野球連盟理事長の渡辺真さん。あのスーパースター、イチロー選手も、スタートは軟式野球だったのだ。ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜選手は、石川県の地区予選決勝で惜しくも敗れ、横浜にはたどり着かなかったそうだ。
横浜高校をはじめ、高校野球の強豪校のスカウトが視察に来る。全日本軟式野球連盟専務理事の大山則夫さんは、「振り返ると、あの選手が昔この大会に出ていた、という思い出がある。選手たちにはこれで終わりではなく、もっと上を目指して、目標を持って野球を続けてもらいたいですね」とエールを送った。
8月13日、灼熱の太陽が照りつける中、今年24回目を迎える大会が幕を開けた。開会式は、
選手入場。開催地代表の横浜鴨居中クラブの選手たちは、最後尾で登場。主将の塚本竜太選手が、「歴史ある港町横浜へようこそ。今、この場にいることが夢のような気持ち」と歓迎の言葉を述べると、観客席から一際大きな拍手が。色とりどりのユニフォームで整列している選手たち。みな真っ黒に日焼けして、中学生とは思えない堂々とした風格だ。もう間もなくグラウンドに、喜びや悔しさのこもった、汗と涙が流れ落ちる。
いよいよプレーボール。第1試合に早速登場した横浜鴨居中クラブの対戦相手は、遥か南国からやって来た沖縄県代表の、
試合は、緊迫した点の取り合いに。0−0で迎えた3回表、鴨居中クラブが2点を先制。しかし4回裏、美東中クラブが鴨居中クラブの先発、佐藤選手を攻略。4番喜屋武隼斗選手のレフトオーバータイムリー2ベースヒットで2−2の同点に追いつく。更に6回裏、鴨居中クラブはノーアウト満塁の絶対絶命の場面を迎えるが、4回から登板した塚本選手が見事に抑え、無失点で切り抜ける。ピンチの後にチャンスあり、続く7回表、鴨居中クラブは植田賢介選手、辻中翔太選手の鮮やかな連続タイムリーヒットで3点を奪い、勝ち越しに成功。7回裏、再びマウンドに上がった佐藤選手が締めて、5−2で勝利。準々決勝進出を決めた。
「地元なので、少しでも多く勝ちたかった」と試合後、緊張感の余韻が残る引き締まった表情で話した、塚本選手。中学生最後の夏、主将としても、チームを引っ張って来た。「今のチームは粘りっこい。集中力を切らさず、自分たちの野球をやりたい」と、早くも次の試合を見据えていた。
「僕にもインタビューしてください!」と満面の笑みで駆け寄ってきたのは、本日の先発ピッチャーを務めた佐藤選手。「今までと違う、すごい応援の中だったので緊張したけど、100%の力が出せた。今日は、(選手も応援団も)みんなで盛り上がった。次もみんなのために頑張る」と、目を輝かせた。
熱戦は4日間に渡り繰り広げられ、石川県代表の星稜中クラブが頂点に立った。鴨居中クラブは、準々決勝で星稜中クラブの前に屈し、涙を呑んだ。大会事務局の石川巖道さんは、「ゆくゆくは、横浜スタジアムのスタンドが満員になって欲しい」と力を込めた。
2007年、夏。横浜スタジアムには、中学生たちが一生懸命に打ち込む姿、そして友情を深めた軌跡が確かに、刻まれていた。
●体験取材の感想●
今回の取材は盛りだくさん!グラウンドでの開会式。そして試合は、普段入ることの出来ない記者席での観戦。記者席は本当に特等席。学生の時のマネージャーの経験を生かして、スコアを付けてみました。途中でスタンドに上がり、鴨居中クラブの応援団と一緒に声援を送りました。皆さんの一生懸命な思いが選手に伝わり、勝利の女神が微笑んでくれました。
おまけはスタジアム内の食堂でランチ。ベイスターズの選手も利用しているとか。カニクリームコロッケ、美味しかったです♪
全日本少年軟式野球大会は、来年も横浜スタジアムで行われます。入場は無料。もしかしたら、イチロー選手のような未来の大リーガーの卵を発見できるかも!?中学球児たちと感動を分かち合える夏に、出会いに来ませんか。




